思うがまま…II

臼井淳一
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(34)「地域社会」崩壊の危機

  ロシアに隕石が落ちたり、北朝鮮が核実験をしたり、中国の大気汚染が日本を襲って来たり。毎日が眼の回るようです。新聞、テレビ、ネットを見ておりますと一日が「あっぁ」という間に終わってしまいます。

 昔、昔は「人生50年」と言っていました。わたしは70年生きていますが、実感として40年ぐらいしか生きていない気がしてなりません。残りの30年はどこにいったのでしょうか。

 目の回るような世の中なので、「残りの30年」はうすぼんやりとしか覚えていないのです。いまから取り返したら100歳になってしまいます。人生「長いものには巻かれろ」式に生きたのが失敗の元でした。

 まあ40年はそれなりに生きてきたので「よし」とすることにします。「人生50年」ですので残り10年の計算になりますか。


 

 超高齢化社会がいろいろと話題になっております。「過疎化」今までは農村地域が中心でしたが最近では首都圏にも少しずつ押し寄せています。高齢者の団地での「孤独死」など悲しい出来事ですが多くなりました。団地と言っても「戸建団地」にも孤独死は広がっています。

 特にマイホームを埼玉・茨城・千葉郊外に40年前に建てた家々にも空き家が目立っています。町田市あたりでも戸建の借家に空き家が目立つようになりました。借家だけではありません戸建の空き家もあります。

 人が住んでいないということはいろいろな「事件」や「火災」の原因にもなります。その典型が福島の原発汚染で住めなくなった地域です。けれども原発に関係なく超高齢化社会は地域を歪みはじめています。

 あと20年もすると日本の「地域社会」は崩壊する恐れがあります。その最大の原因は人口減です。日本はどこかの国みたいに「一人っ子政策」などを取っていません。あぁそれなのに人口比率で高齢者が多くなったのは人口減が最大の原因です。

 先ほど、小津安二郎監督の「東京物語」のDVDを観ました。今から60年前の1953年の作品ですが、現代に通じるものがありました。とくに年寄りの立場から子どもたちが親のことを考えない余裕のない生活は、今日の「地域社会」を小津安二郎監督は予想していたかもしれません。

 つづいて小林多喜二の小説「蟹工船」を映画化したDVDを観ました。今から87年前の1926年に書きました小説です。これも現代に通じるものがあります。それは「お国のため」と称した過酷な労働です。さらに殴る・蹴の暴力による強制労働です。それに耐えきれず働く人たちが立ち上がった実話の物語です。

 今も、87年前に戻ったような低賃金の不安定パート・派遣労働は近年増えるばかりです。働く者たちが「権利」を主張して戦うのはいつの世でも当たり前なことなのです。

「蟹工船」から「東京物語」そして山田洋二監督の新「東京物語」。わたしは一連の流れとして考えて見たいと思います。

 また、「地域社会」を崩壊させないためにも、300万のお年寄りがいましたら400万の赤ちゃんが生まれる日本にしなければなりません。

 まだ40年しか生きてないので、「人生50年」と思って残り10年を少しでも若い人たちのお役に立つためにしっかり生きていかねばと思います。


(2013年3月1日)



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