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[20]早春キャンプ

 4月8日桜が満開の日に「団塊の世代」と「転落の世代」を交えて、神奈川・道志川へ早春キャンプに行ってきました。

 この中のKさんが東京を後にして、遠い「異国」に永住することになったのです。今回は「お別れ会」を兼ねた早春キャンプなのです。

 参加者はそれぞれのアウトドアーのエキスパートです。釣りや、山や、自転車屋、なんでも屋の集まりです。

「転落の世代」とはアウトドアーのやりすぎで管理職から転落した世代です。

 なぜ、わたしがこのような集まりに参加しているのでしょうか。

 それは「類は類を呼ぶ」というか、在職中に飲み屋で自然発生的に集まった「ヤロー集団」であります。

 早春キャンプは12畳ぐらいのバンガローを一軒借り切って、屋根つきの炉辺に「赤提灯」をぶら下げるアイデァーはさすが飲み屋の「ヤロー集団」です。
 
 この時期のキャンプ場はほとんど我々の貨切り状態です。川辺のあちこちには山桜が見事に咲き乱れ、さらに川から見上げる斜面に青々とした木々を這うように小さな山桜が凛とした満開の花をつけていました。

 屋根つきの炉辺を囲みながらビール、日本酒、焼酎、ワイン、果実酒を飲みつづけ。さらに焼肉、焼き鳥、山菜どっさりうどんを食べつづけ。気の置けない仲間との会話は最高に楽しいです。

 夜の7時ごろに飛び入りの落語家ではなく、「落伍家」が車まで駆けつけてくれました。早速多いに飲ませて得意の落語を一席。

「えー。俺は普通に生きてきたのだ。それなのに隣の後家さんが俺にちょっかいを出すのだ。この事を好きな女に言って、ぶん殴られたねー」(「よー、後家殺し!」)

「ここにラブレーターがある。こう書いてある。私は貴方の誠意に応えることは出来ません。それは貴方の誠意が冗談だか本当だか分からないからです。女心は冗談もわからないのかねー」

「いやー、昔はモテモテだっなぁー。エッ。今どうなのかって、今だって60のババアーから、フーさんお墓をいっしょに見に行かない。次いでに葬儀屋さん行ってー、お誘いがくるよ」

「お墓の引越しとかけてなんと解く はかがいかねえー。エーおあとがよろしいようで」

 爆笑、爆笑のこんな「落語」が延々と続きます。外では「釣りや」が大声で分けのわからない唄を歌っています。

 静かな山深い河原の早春の夜はふけていきます。昼間みた満開の山桜はバンガローの弱い灯かりに照らされて「ヤロー集団」の話し声と歌声を聴いているのだろうか。

 寝袋にもぐりこみ、目を閉じると睡魔がどっと来ました。睡魔を心地よく受け入れながら、わたしはこの「ヤロー集団」といつまで付き合えるのか。うーん。あと10年は早春キャンプに行きたいなー。73歳の早春キャンプも悪くないかァー。

 Kさんの「異国」にも来年行ってみようかなぁー。そして静かに、静かに眠りにつくのであります。


(2006年5月1日)


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