作 臼井 淳一


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ


 〈最終回〉鬼はそとー

 「お父さん。今日から家にいるのでしょう。お蒲団を干して、洗濯物お願いね。ついでにハッピー(犬)の散歩も…わたしは勤めだから…」。
 これが定年1日目、7日の朝、女房との会話であります。

 交通標語で「車は急に止まれない」というのがありますが、「人間も急にはリタイヤできません。」と思います。
 特にわたしは会社で「一生懸命仕事?遊び」、「仕事?遊び」。土曜、日曜、祭日は朝から夜まで野球の審判。こういう生活を25年以上もしてきた人間には家にいるのは「辛い」ものがあります。

 まだ、たったの5日間休んだだけなのです。先が思いやられます。それでもいろいろ工夫して朝は7時に起きて「鶴見川遊歩道」を1時間散歩するのです。驚いたことに散歩をしている人たちが、わたしと同年齢と思われる人ばかりなのであります。それも男性が圧倒的に多いのです。
 
「あぁ。定年8カ月前」の最終回にこういうつまらない作文を書くとは「夢」にも思っていませんでした。バラ色とまではいかなくても…「コスモス」の香りがして…「愛と希望」までは期待しませんが…。せめて「ロマンの香り」あふれる作文が書きたかったです。

 それでも今日「年金相談センター」ですてきな会話をしてきました。
 「失礼ですが、ここは相談だけなのですか?」と、わたしは、隣の女性に声をかけました。
 これがきっかけになり「なぜ、日本はこんなに景気が悪いのか。どうしたら景気がよくなるのか」とまで。お話が弾みました。

 この女性は、ご主人が定年で、かわりに年金相談センターを訪れ、とても不安だったようです。わたしの乏しい「年金知識」を熱心に聞いてくれました。
 (もちろん美人でした。どこかでまたお会いしたいですね…)。

 ハローワーク〜市役所〜年金相談センター〜「銀行泥棒」と。今日はとても神経が疲れました。「銀行泥棒」と書きましたが、住宅ローンを返済したあと、「新しく家を建て替える時には、融資をしてくれますか」と質問しましたら、
「多分ダメでしょう。貴方は無職だから。それより今の預金を定期にしませんか」
 ですって。 

 わたしはカッーとして、預金残高2億円を引き出し、銀行の前で「鬼はそとー。福はそとー」とお札をバラマキ、1カ月早い節分をやってきました。

(2003年1月10日 記・完)


 永い間ご愛読ありがとうございました。これから定年を迎える方には、少しはお役に立ちましたか? 厳しい世相ですが「地球的規模」で物事を考えてください。「人生は楽しく」「後は振り向かない」「上司の頭はからっぽ」。そんなことの繰り返しで毎日を生きることですね。

 次回からは臼井淳一の「にんげん大好き・現場〜営業マンへ華麗なる変身」を連載いたします。
 生き残りをかけた日本経済は、この日本で立て直すしか道はないのです。もう日本経済連とやらに任せられません。わたしに任せなさい。乞うご期待?


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ