【3】山歩きと山登りの違い
作  臼井 淳一
挿絵 金光 敏博


 丹沢山塊で一番好きなところは塔ノ岳です。特に大雪の降った後などは最高です。雪がなければ「山歩き」になりますが、大雪がありますと「山登り」になります。

 山歩きと山登りの違いは、一口に言いまして「坂道を歩く」、「木に登る」違いです。坂道を転んでもゴロゴロ下に落ちるだけです。木に登り木から滑り落ちますと直角に落ちます。
 富士山は夏に行けば「山歩き」ですが、冬は「山登り」です。


きりえ「丹沢塔ノ岳・尊仏山荘」


 丹沢・塔ノ岳はかっこうのトレーニングの山です。何しろ都心から近く、直ぐ登山口までバスで行けます。夕方までには家路につくことが出来ます。
 若い頃の私は体重が46キロしかありませんでした。リックを46キロにするために「石」を入れて登ったことがありますが、足腰のバランスのトレーニングです。塔ノ岳の頂上までには行けませんでしたが、こんな細い体でも「やればできる」という自信が湧いてきました。

 塔ノ岳から見る夜景は「百万ドルの夜景」と言われますが、日本円に直しますと「1億円」ですか。ということで私は20回見ておりますので「20億円」見たことになります。「円相場」が変わるので正確な数字ではありません。山はロマンが一杯ですね?。
 青春時代は「お金」のことなどはあまり考えませんでした。ただひたすらに「山」に行ければよかったのです。                         

[2001年2月15日]



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