33年前は「釣り橋」を渡り、宿にたどりつきました。写真のように「断崖絶壁」の1軒宿です。部屋は5部屋しかありません。予約は平日でも中々取れません。今では車で玄関前で行けるようになりました。
この宿で、吉川英治が昭和24年ごろに「新平家物語」を書き上げました。
温泉にはあまり興味がありませんが、ここのお風呂は「洞窟」の中に入っていくのです。広くはありませんが、暗い洞窟で透明度が高い、ぬるいお湯にゆっくりしたっていますと、とても神秘的で下界の出来事を忘れることができます。
ここは、前回お話しました「秋山郷」の入り口になります。わたしたち夫婦が33年前に訪れたのは5月でしたので、バスはここまでしかありませんでした。
ここに一泊して、鳥甲山が見られる「和山温泉・仁成館」までは徒歩で3時間をかけて行くしかなかったのです。
その時に、先先代のご主人から、熊の串焼をご馳走になりました。ぜんぜん臭くなく、とても美味しかったです。が、やはり堅かったことを想い出しました。
また、ご主人は絵がとても上手で、ご自分で書かれた「秋山郷の景色と俳句」を絵葉書にしておりました。
若女将に、その時いただいた絵葉書を見せましたら、懐かしそうに見て。
「うちは、皆さん芸術一家なのですよ」と笑っていました。
また、最近は開発が進み、熊が人里近くまで来るそうです。また、この当たりは昔から「マタギ」で有名で、今でも1年中熊の肉が食べられます。今回は「熊肉のすき焼風」を食べました。
食事のお部屋に、吉川英治のこんな色紙がありました。
吾以外 皆 吾師也……英治
わたしもノートに書いてきました。
吾以外 皆 凡人也……淳ちゃん(宮本武蔵殿 どうぞお許しを!)