スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■1 奮闘するベテラン勢

 日本人女性の寿命は今年も世界一で、男性は二位に上がった。ところでそれに比例するのかどうか、ここにスポーツの一つのデータがある。

 プロ野球各球団に在籍する三十五歳以上の選手は二十年前には四十三人だったが、現在は七十七人に激増し、四十歳以上の選手も三人から十一人に増えている。この傾向はメジャーリーグでも顕著だ。
 横浜で先発投手として活躍する工藤公康投手は四十四歳だ。九月二十七日現在七勝六敗、防御率三・九一。中継ぎ陣が頑張り、打線の援護があったら、あと二〜三勝増えていたろう。
 中日の山本昌は四十二歳。二軍落ちもあったが、先発で奮闘している。
 三十九歳を迎える楽天・山崎武はローズの帰国もあって本塁打王が確定的。同じく三十代後半のヤクルト・宮本慎也、横浜・佐伯貴弘、阪神・金本知憲の各選手も打撃部門の上位で活躍中だ。

 元西鉄のエース、稲尾和久氏(現野球解説者)はいう。「昔と今とでは選手の意識と環境がまるで違う」「今の選手は試合後、マッサージを受け、素振りやトレーニングをやってから帰路につく。われわれの現役のころはベテランでも体の手入れをしなかった。酒やマージャンもやったしね」

 現在は、栄養士のアドバイスによる食生活の管理、コンディショニングコーチによる計画的トレーニング、メディカルチェックの徹底などを、球団主導で行う。
 「巨人でも試合後にトレーニングする習慣などなかった。遠征でも宿舎で素振りをしていたのは、酒を飲まない長嶋(茂雄)さんぐらいだった」(野球評論家・柴田勲氏)。
 体の手入れを怠らなければプロ野球選手の寿命はこれからもますます延びるであろう。


(「損保のなかま」2007年10月1日付より)


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