スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■6 早稲田脅威のブランド力

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 「早稲田のブランド力にはかないません。数年後には箱根駅伝でも優勝するんじゃないですか」
 大学駅伝関係者からそんな嘆き節が漏れたのは昨年秋ごろ。数年後どころか、今年の箱根駅伝で早大は往路優勝(総合二位)、「来年は復路も優勝を狙います」と、渡辺監督は十五年ぶりの総合優勝に自信をみせた。
 昨年夏の全国高校総体五千メートルで入賞した日本人高校生上位三人がそろってこの春、早大に進学。駅伝黄金期復活の夢が膨らんだからだ。

 早大といえば、九〇年代後半に体育会が弱体化、低迷が続いたが、〇三年にスポーツ科学部を開設、昨年は卓球の福原愛選手らが筆記試験なしの「トップアスリート入試」で入学した。
 狭き門が広がったことにより有力選手が吸い寄せられるように続々集まった。
 野球部には昨年、「ハンカチ王子」の斉藤佑樹投手が入学、期待通りの活躍で東京六大学野球春・秋連覇のほか、全日本大学野球選手権で三十三年ぶりに優勝した。ラグビーも優勝し、サッカーは十三年ぶりの日本一に輝くなど、今や早大は「スポーツ王国」である。
 年間千二百万円の強化予算を組み、競争部、野球部、ラグビー部を最重点競技に指定した王国づくりが実った。

 十八歳人口は九二年を境に減少し、四年生大学の四割は定員割れしている。全入時代の到来で大学淘汰の波が押し寄せている。早大のような有名私学のスポーツ進出は、偏差値という尺度で見劣りする大学にとって脅威だ。学費免除、栄養費支給などの条件を出しても、人材は容易に集まらない。
 老舗の日本体育大学などは「ブランド力を保つため、注目競技に勝って存在感を見せなければ……」と、実技で遅れを取れないのだという。

(「損保のなかま」2008年3月1日付より)


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