スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ


 ■10 元日本代表コーチの辛口発言

イラスト

 中国・四川省での大地震で大きな被害が出ている。北京五輪を控える中国がこの国難をどう乗り切るか、世界は支援の輪を広げながらも、かたずを飲んで見守っている。

 ところで、この大地震の前に中国シンクロ代表チームを率いる井村雅代ヘッドコーチが、「(日本は)こんな進め方をしていて本当に世界と戦えるのか。危険信号が出ている」と、日本代表の強化方針をきびしく批判した。
 日本にはいい若手選手がいても、強化方針が伴っていないと指摘したものだ。

 世界のシンクロ界は大型化が進み、中国も国の後押しを受けて全国から人材をえりすぐり、平均身長1メートル72センチの代表チームをつくった。
 それに比べて日本代表チームの平均身長は1メートル64センチと見劣りがする。
 その点も井村さんはばっさりと切り捨てた。「国の取り組みもない。失礼だが、戦車に竹やりで立ち向かうようなもの」

 井村さんといえば、ロス五輪デュエットで元吉・木村組の銅メダルを皮切りに、計6回の五輪で日本にメダル8個をもたらしている。一昨年就任した中国でもスパルタで鳴らし、めざましい躍進に導くなど、だれがみても超一流の指導者である。
 しかし、公の場で日本選手の芽を摘むような言い方をしては、過去の輝かしい経歴に傷がつきかねない。
 井村さんは中国のコーチに就任したことで世間を驚かせた。シンクロ関係者は「時期と相手というものがある」と激怒したという。
 そのうえ、「竹やり」呼ばわりとは、がんばっている選手ならずともくやしい限り。八月に迫った北京五輪。日本のシンクロチームの奮起を願うばかりだ。


(「損保のなかま」2008年7月1日付より)


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ