スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■11 日本水泳陣の皮算用

イラスト

 「魔法の水着」とでも言おうか、英スピード社製水着「レーザー・レーサー」(LR)が、スイミングスクールへわが子を通わせる母親の間でも話題になっているという。
 水着でタイムがよくなるなら子どもに着せてやりたい、と言う親がいても少しも不思議ではない。

 この水着の猛威は、六月のジャパンオープンで示された。男子二百メートル平泳ぎで北島康介がついに世界新。また同二百メートル背泳ぎで入江陵介が自身の日本記録を更新、世界記録に0秒45と迫り「自分が出す記録ではない」と戸惑いを見せた。

 試着のレーザー・レーサーで信じられない記録ラッシュとなり、選手も関係者も驚がくした。
 「五輪で最高の結果を出すため」ということで、日本水連は五輪代表選手が自由に水着を選べるオープン化を決定した。
 これにより国内契約三社ミズノ、デサント、アシックスだけでなく、LRも容認され、堂々と着用できるようになった。
 選手を指導するコーチ陣は「これで世界と同じ舞台に立つことが出来た」と大喜び。「日本勢の予想メダル数は上方修正。北京五輪はかなり期待出来る」(JOC関係者)の声も上がった。

 しかし、「簡単にはいかないよ。うまくいって五個(金、銀、銅合わせ)くらいか…」の意見もある。
 日本水連の古橋広之進名誉会長の「昔はふんどしで泳いだものだ。水着のことで騒ぎ過ぎじゃないか」との談話には味がある。
 今、代表選手は八月に照準を合わせ練習に力が入るが、表彰台に乗せられるのはLR水着だけで、選手は後ろの台に立ったりして…。


(「損保のなかま」2008年8月1日付より)


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