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近鉄バッファローズ買収に乗り出した堀江前社長を「ハゲタカ」と激しく批判した渡邉氏にしてみれば、「それみたことか」という思いが強かったに違いない。 渡邉氏ならずとも、マネーゲームでのし上がった人物を信用しない人は多いだろう。まして、「人の心もカネで買える」とまで言い切る堀江前社長を、常識人であればだれもが認めないに違いない。 しかし、小泉政権はホリエモン流の錬金術を見習うべきモデルとし、昨年の総選挙には堀江前社長を「刺客」に祭り上げ熱狂的に声援した。堀江前社長は小泉政権のすすめる新自由主義改革のシンボルにされ、結果的にその改革のお粗末さを身をもってさらけだしてしまったと言えよう。 近鉄買収への動きとライブドアの粉飾決算とが関係しているのではないかという疑いも出ている。ひるがえってみれば、当時は選手会、メディア、スポーツジャーナリストなどが堀江前社長を大いに持ち上げ、時のヒーローにしてしまった。 それらの関係者たちはその浅薄さや無責任さを少しでも恥じているのだろうか。メディアなどは、恥じるどころか、手のひらを返すように堀江攻撃に転じる有様だ。 ホリエモン流の錬金術はIT企業に共通するものであり、プロ野球にかかわってきた楽天や村上ファンドなども厳しく監視されなければなるまい。プロ野球は金もうけの道具にされるべきではない。この際、スポーツ関係者やメディアは、マネーゲームがスポーツを荒廃・堕落させるということを肝に銘じておく必要がある。 |
(「損保のなかま」2006年3月1日付より)
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