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 ■10 W杯での敗北をかみしめよ

 サッカーW杯ドイツ大会の一次リーグで敗退した日本代表チーム。視聴率稼ぎのためにテレビが「決勝リーグ進出は当然」という幻想を思いきり膨らませたことによって、みじめさや哀れさがより強烈なものとなった。
 いまさらながら、ジャーナリズム精神を完全に放棄し、偏向した中継番組に仕上げたテレビ局の弊害の大きさを痛感させられた。

 ジーコ前監督も選手も、まさか一次リーグで敗退するとは想像だにしていなかったに違いない。それだけに関係者が受けた衝撃は大きいはずで頭を容易に切り替えることなどできまい。
 この際、敗北をとことんかみしめることが肝要で、新たな代表チームづくりを安易に考えるべきではなかろう。

 もっとも厳しい自己批判を求められるのは日本サッカー協会の川淵三郎会長だ。過信や過大評価によって形成された既成概念を壊すという自己批判は至難であり、他者による批判こそが不可欠である。その点で川淵会長の独裁体制を壊すことが喫緊の課題となる。
 できるかぎり多様な知恵を集め、自由に意見を交わし、進むべき道を見出していく。そうした組織へとサッカー協会を改革することがいま求められる。

 日本代表に多くの関心が集まり、あたかもサッカー隆盛を表象しているように思わせる。しかし、一方でJリーグは低迷しつつあるのも事実。これは本末転倒した現象ではないか。 
 少なくとも日本代表のためにJリーグがないがしろにされるようなことがあってはならない。今回の敗北から何が生み出されるのか。川淵会長をはじめ、関係者の動向に注目したい。

(「損保のなかま」2006年8月1日付より)


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