「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ


 ■11 五輪招致で行政が企む大型開発

 2016年夏季五輪の招致に名乗りを上げた福岡市と東京都のどちらかが8月30日、立候補地として選ばれる。選ぶのは、日本オリンピック委員会(JOC)がつくった国内立候補都市選定委員会(JOC理事25人、JOC加盟競技団体29人、日本障害者スポーツ協会代表1人、計55人名)。

 山崎広太郎福岡市長と石原慎太郎東京都知事は、何を企図して五輪招致を目指しているのか。
 端的に言って、両者とも大型都市再開発だ。二都市は提出した概要計画書でともにコンパクトさを前面に打ち出し、無駄のない合理的計画だと強調している。
 しかし、それはぎまんだ。福岡市の場合、博多湾に面した須崎地区を再開発して集中的に競技施設などを建設するとしている。現在、この地区には倉庫や製粉会社が立ち並んでおり、これを移転させなければならない。この大型再開発の費用がばく大なものになるのは明らかだ。
 東京都でも、競技施設整備など計画書に盛りこんだもの以外に、首都高速中央環状品川線、首都圏中央連絡自動車道、外郭環状道路、それに羽田-築地トンネル道路など、総工費六兆円と言われる大型開発をもくろんでいる。

 こうした大型開発による財政負担が住民の福祉、教育、医療などを圧迫するのは間違いない。それゆえ、両都市には五輪招致に反対するいくつかの組織が結成された。首長や行政に招致撤回を求め、JOCにも立候補地に選ばないよう要請するなど、さまざまな反対活動を行っている。

 どちらの都市が選ばれても、住民は招致反対の意思をより一層強固なものにして首長・行政やJOCにとことん対決し続けるだろう。

(「損保のなかま」2006年9月1日付より)


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ