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 ■13 スポーツ界からも声をあげるべきだ

 小泉前首相の後継に選ばれた安倍晋三新首相はこの国をますます危険な方向に向かわせようと考えているようだ。

 安倍氏は「美しい日本」をめざすと繰り返すのだが、何をもって美しいと考えているのか明らかにしない。
 だが、これまでの発言を総合すると、日本国憲法による戦争放棄や、教育基本法による平和国家・社会の形成者づくりが、日本の美しさを失わせたと考えているふしがある。だからこそ憲法や教育基本法の改正に意欲を示しているのだろう。
 戦前に逆戻りさせるような国家主義がまかり通るようなことになれば、スポーツも再び国家に統制され、徹底的に国威発揚の道具にされるのは間違いない。

 新政権は真っ先に教育基本法改正に着手しようとしている。政府の改正案では前文冒頭から「我々日本国民」と書き出し、「日本人を育てる」ことを強調している。また、個人の尊厳を重んじることと同列に「公共の精神を重んじ」との文言が入る。
 「教育の目的」の条文のなかには、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」として、愛国心教育が盛り込まれている。しかし、愛国心の基盤となる伝統とか文化とはいったいいかなるものか明らかにされていないので、何が愛国心なのか定かではない。

 いずれにせよ、教育基本法改正は国家の望むような日本人の育成を企図しているのは間違いない。
 スポーツの分野では日の丸に忠誠を誓い、世界を相手に打ち勝ち、国威発揚に寄与できるスポーツエリートの養成がさけばれるであろう。
 スポーツの側からも声をあげていかなければならない。


(「損保のなかま」2006年11月1日付より)


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