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 ■14 致命的打撃を与えるプレーオフ制

 日本一に輝いた日本ハムファイターズには、特筆すべきことがいくつかある。前身の東映フライヤーズ以来、44年ぶりの栄冠ということはもちろんだが、ヒルマン監督の下での指導体制、札幌での本拠地づくり、北海道のファンの熱意などは高く評価されるべきだろう。
 その上で、あえて水を差すようなことを言わなければならない。それは、パ・リーグのプレーオフ制のことだ。

 勝率上位3チームによるプレーオフ制については、ペナントレースの価値をおとしめるものだとの批判が、球界内部にも以前からかなりある。
 しかも、ペナントレース1位のチームには、特権としてあらかじめ1勝があたえられる。戦わずして1勝が得られるなどというルールがあったのでは、真の覇者を競うことにはならない。
 こんないい加減なプレーオフ制をパ・リーグがやるのはポストシーズンも観客を集めて収益をあげたいという、単純な理由からだ。

 これまでプレーオフ制に反対してきたはずのセ・リーグまでも、来シーズンのプレーオフ制導入を決めた。巨人人気の決定的な凋(ちょう)落の影響で各球団とも収益ががた落ちし、もはや背に腹はかえられないというわけなのだろう。
 なにしろ、あまりの低視聴率のために巨人戦のテレビ地上波中継が消える事態にさえなっている。巨人戦放映権料の下落は避けられず、その収入に頼ってきたセ・リーグ各球団にとっては、大きな損失となる。

 来シーズンからのセパ両リーグでのプレーオフ制導入。ペナントレースばかりか、日本シリーズの価値をも下げ、ひいてはプロ野球自身に致命的な打撃をあたえることにもなろう。

(「損保のなかま」2006年12月1日付より)


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