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レッドソックスにどれほどの財力があるか知らないが、それほどの巨額の契約になったことに異常さを感じる。すご腕の代理人といわれるボラス氏の交渉力によるところが大きかったのは間違いなかろう。同時にレッドソックスとしても松坂投手についてのビジネスで充分に採算が取れると判断したのだろう。 代理人交渉の経験を持たない松坂投手としては、実際の交渉過程では蚊帳の外に置かれて不安も多く、とくに家族のことを含めてプレーに打ち込める環境の保証がもっとも気掛かりだったようだ。契約成立でホッとするまもなく、巨額の契約金が松坂投手に大きなプレッシャーを与えている。おそらく松坂投手は、「大リーグで野球をやってみたい」という子どものころからの夢を実現したことの喜びと、果たして期待にこたえられるだけの活躍ができるのかどうか、という不安との交錯した思いを抱いているに違いない。 大リーグは球団フロントから現場の監督や選手に至るまでプロに徹した弱肉強食、優勝劣敗の世界だ。そればかりでなく、日本のようないい加減なメディアや観衆とは異なる、ベースボールを理解し厳しい批評眼をもったジャーナリストやファンたちが取り巻いている。そうした意味で松坂投手は日本のプロ野球とは異なるベースボール文化の世界に飛び込むことになる。松坂投手がその世界にどう向き合い、挑戦していくのか注目したい。 |
(「損保のなかま」2007年2月1日付より)
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