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第三者で構成された調査委員会(委員長・池井優慶応大学名誉教授)は球団創立時までさかのぼって調査し、四月四日に中間報告を発表した。すでに明らかにされている二選手以外の五選手に六千百六十万円、高校・大学・社会人野球の監督らに年間約五百万円、十五選手に規定を越える契約金十一億九千万円などが渡されていた。 調査報告は、西武球団が創立以来展開してきた有力選手獲得のすさまじいばかりの実態の一部であって、総体を明らかにしたとはいえないだろう。実際に投じられたカネが、報告書で明らかにされた金額をはるかに越えるのは間違いなかろう。 プロ野球に限らず、社会人野球でも「支度金」などと称した裏金がある、といわれている。高校野球での野球留学(今では中学生の段階から行われている)や大学での特別選択制・スカウト制なども、何らかの形で金銭が絡んでいると見るべきだろう。拝金主義は今や社会を深く浸食し、カネによる人間性はく奪の害を拡大している。 スポーツの世界でも、選手は商品化され、「何億円選手」というように、付けられた値段で評価される。それゆえに、スポーツ選手を取り巻く関係者たちは「選手はカネを生み出す打ち出の小づち」と考えてしまう。 野球でも、プロ球団を頂点に、その予備軍の社会人、大学、高校などがすそ野をつくる構造のなかで、拝金主義はその全体を浸食している。 今回の調査を契機として、そうした拝金主義の構造にまでメスを入れてもらいたい。 |
(「損保のなかま」2007年5月1日付より)
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