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結局、一等当選約五億六千万円が七本出て騒ぎは終息した。 この売り上げが六十一億円に上ったことで胴元である独立行政法人・日本スポーツ振興センター(以下、センター)は、「ビッグ」を「救世主」として期待を膨らませたらしい。その発想こそ、恥も外聞も放棄してカネ集めに狂奔するセンターの浅ましさを象徴している。 サッカーくじ売り上げの下落に歯止めが掛からず窮地に追い込まれたセンターは、「トトゴール」「ミニトト」など種類を増やし、対面販売や、コンビニでの販売禁止などの規制を次々に破ってきた。 しかし、危機的な状況は深刻化するばかりで、センターはスポーツ振興基金(国債・地方債)を担保(文科省が省令で認可)にして、りそな銀行をアレンジャーとするシンジケート団から百九十億円もの借金をして組織の延命をはかった。 一方でセンターは、なりふり構わず民衆の射幸心を徹底的にあおる「ビッグ」を〇六年九月に売り出し、起死回生を狙ったのだ。 いずれにしても、天下り組織の存続を自己目的化する文科省の、あからさまで本末転倒な姿勢によって、本来の目的であるスポーツ振興がくいつぶされていくのは明らかだ。 地域住民がスポーツの主人公となるようなスポーツ振興を実現するためには、サッカーくじを廃止して、ギャンブルではなく、まともな資金の確保をめざすべきである。 |
(「損保のなかま」2007年7月1日付より)
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