横丁の思い出 横丁の思い出


(10)横丁の思い出
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 横丁には行き止まりがありそうでありません。人がやっと通れる抜け道があるのです。それもこどもだけの抜け道なのです。

 いたずらをして親や近所の大人から追われても、絶対に捕まらないのです。行き止まりがあってもこどもの身体ですと通り抜けてしまうのです。

「事件」が起きたのは清が小学校2年生の時でした。皆でかくれんぼうをはじめました。何回か鬼が回ってきて清が鬼の時でした。どうしても秀ちゃんだけが見つかりません。

 冬の時期でしたので早くも夕暮れになりました。かくれんぼうを止めて家に帰らなければなりません。皆で大声を出し叫びました。

「秀ちゃんー 出ておいでー 暗くなるから帰るよー」。
 ところが秀ちゃんはなかなか出てきません。

 今度は全員が鬼になり秀ちゃんを探し回りました。それでも秀ちゃんは見つかりませんでした。
 ガキ大将の勲ちゃんが「清坊、秀坊の家に行って来い。帰っているかもしれないぞ。もし帰っていたら明日は一日鬼にしてやるぞ」。

 たが、秀ちゃんは家にも帰っていませんでした。
 
 こうなりますともうこどもの手に負えなくなります。近所の大人たちまでが「鬼」になり秀ちゃんを探し周ります。

 秀ちゃんはどこにいたと思いますか、横丁にはこどもだけが通れる道があります。隣の敷地の庭に入ることもできるのです。大人たちが血眼になって探しても見つからないのはそのためです。

 実は秀ちゃんは、横丁から少し離れた家の片隅にあります使用されていない古井戸の中にいたのです。発見者は古井戸の持ち主です。



古井戸はこの横丁のさらに奥にあったのです

 古井戸は、こどもが入れないように厳重に囲いをしていました。だが、秀ちゃんはかくれんぼうのために少しずつ囲いを破っていたのです。

 井戸に入れば落ちると思いますが、この井戸はふたを取りますと、こどもが入れるぐらいの空間があるのです。井戸の持ち主がワラを敷いていたのです。その空間に隠れているうちに秀ちゃんは眠ってしまったのです。

 後で持ち主は「大人が入っていたら落ちていたでしょう」と言っていました。

 秀ちゃんの母親は、気が狂ったように秀ちゃんを殴っていました。
 清たちはこの「事件」があってからは、かくれんぼうはしなくなりました。

 古井戸や 童(わらべ)隠れて 神隠し

 かくれんぼう 神隠しもいる あそびかな


(2008年1月15日)



「横丁の思い出」(9)に掲載した「あんた昭和のなんなのさ」に歌唱が入りました。

     ↓  ↓  ↓

  ♪「あんた昭和のなんなのさ」のホームページ(唄が聴けます)



  あんた昭和のなんなのさ

詞・臼井 淳一  作曲・もがみももよ  唄・演奏44 Band

1、戦後の昭和は 親子が顔を寄せ合い暮らしました
  昭和25年代 食べるのに無我夢中で働きました
  汚染たれ流し だれも気にかけませんでした
  そのツケが やってくるのを知らないで
  CO2 CO2 世界の空が曇っていく
  あんた昭和のなんなのさ

2、戦後の昭和は こどもたちはよく遊びよく働きました
  昭和30年代 成金がボツボツと出てきてました
  煙突から煙 黒い雪が町に降ってきました
  そのツケが ゴホンゴホンとやって来ました
  CO2 CO2 世界の空が曇っていく
  あんた昭和のなんなのさ

3、戦後の昭和は 汗水たらして皆で働きました
  昭和40年代 若者たちは町中から出て行きました
  そして今 昭和ブームと言われています
  団塊の世代が 平成へと放り出されました
  CO2 CO2 世界の空が曇っていく
  あんた昭和のなんなのさ
  あんた昭和のなんなのさ



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